机上の空論ではなく、緻密なデータ分析と法的・経済的根拠に基づいたビジネスモデルを構築する。2025年度のインゼミ大会で発表した、社会課題をハックする2つの実践事例。
タイトル:【Case 01】次世代型福祉 ~「食品ロス削減」×「就労支援」の統合エコシステム~
■ BACKGROUND:複雑に絡み合う3つの社会課題
現代日本が抱える以下の課題は、独立しているようで密接に結びついています。
- ・深刻な食品ロス: 国内の年間廃棄量464万トンのうち、利用可能なものは約173万トン(特に食品製造業108万トン、外食産業66万トンと事業所由来が顕著)。
- ・慢性的な人手不足: 宿泊業や食品業界における常態化した採用難と、現場への過度な負担。
- ・生活困窮者の負の循環: ワーキングプア層の所得不安定化による「満足な食事ができない」という心身への悪影響。
■ SOLUTION:食と職の同時提供モデル
これらの課題を包括的に解決するため、貧困層へ「食」と「職」を同時に提供するプラットフォームを考案しました。
- 1. 就労支援: 行政を通じ、就労希望者を人手不足に悩む工場・ホテルとマッチング。
- 2. 食支援: 労働報酬に加え、企業の福利厚生として「規格外商品」や「フードバンクの食品」を提供。
- 3. 保育支援: 預け先がなく働けない層へ、企業内保育園を活用した支援を実施。
■ IMPACT:WIN-WIN-WINの社会循環
生活困窮者は食費を抑えながら自立へと向かい、企業は人手不足を解消。社会全体としては食品ロス削減により環境負荷が低減される、支援する側・される側の双方がメリットを享受できる次世代型福祉のあり方を提示しました。
タイトル:【Case 02】40〜50代のための借地権ビジネス ~「終の棲家」×「マンション問題」の解決~
■ BACKGROUND:忍び寄る「住まい」の危機
- ・終の棲家問題: 高齢化・単身世帯の増加に伴い、年齢が上がるほど賃貸契約が結びづらくなる現実。
- ・老朽化マンション問題: 今後、築100年を超えるマンションの管理費高騰やスラム化により、住み替えが困難になる懸念。
■ TARGETING:潜在的ニーズの深掘り
本企画ではターゲットを「40〜50代の単身または夫婦2人(子なし)で、地方中核都市の駅徒歩圏内に住む富裕層(可処分所得1000万円以上)」というニッチ層に設定。各種統計から以下のニーズを抽出しました。
- ・介護ではなく、コンシェルジュや家事支援など「自立と快適性・自由度」を重視。
- ・車に頼らない「交通利便性(駅近)」を圧倒的に重視。
- ・子なしゆえの「不動産を遺す必要がない(相続不要)」ことへのメリット。
■ SOLUTION:「建物譲渡特約付借地権」を活用したビジネスモデル
法的リスクとコストを抑えるため、あえて介護サービスや福祉施設化を避け「借地×戸建て」モデルを提案。浮いたコストを顧客ニーズに合わせ3段階で提供します。
- ・月額0円プラン: サービスなし。コストパフォーマンス最良のベースプラン。
- ・月額1.7万円プラン: 賃貸との差額分をサービス(安否確認、タクシー手配等)に充てる標準プラン。
- ・月額5万円プラン: ハウスキーピング等を含む富裕層向けフルサービスプラン。
■ IMPACT:三方良しの実現
消費者は不要な相続問題を回避しつつ安価に終の棲家を手に入れ、企業は土地の年次地代とサービス料で長期安定収益を確保。地域社会のマンション老朽化問題をも未然に防ぐ「三方良し」の循環を創出しました。